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偶然

Category想い出の小箱
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家からは目と鼻の先にあるスーパーで、
懐かしい人に会いました。


この日、自転車に乗って
別のスーパーに行こうとしていました。

ところが、
タイヤの空気が少ないので
空気を入れるのですが、
入れても入れても入りません。

雨もやんだし、
5%引きセールの日だったので、
是非とも行きたかったのに・・・・・。

残念だなと思いつつ歩いて行った
目と鼻の先のスーパーで、
モヤシだけを買おうとしていました。

「久しぶりに、
 袋ラーメンを食べたい」
と、夫が言ったからです。


レジに並んだら、その先に、
朗読仲間だったKさんが見えたので、
レジの列から離れ、近寄ると、
彼女は、ちょうど、
お友達と話し始めたところ。

と、見ると、
その方も、知り合いでした。

ずっと前、朗読でコラボした
大正琴グループの人です。

で、三人集まったところで、
共通の友人である
Nさんのことが話題に。

Nさんは、私より一年遅れの
約二年半前、朗読をやめたのですが、
今年の一月に亡くなったのです。

ところが、Kさんは、まさに今、
そのことを初めて知ったということで、
少なからず驚かれました。

ひとしきり話した後、
大正琴の人は去りました。

Kさんに、
「あの人の名前知ってる?」
と訊いたら、
「知らんのよ」
と言います。

実は、私も知らないのです。

だって、
大正琴グループの人との
練習日程とか、交渉一切を
請け負ってくれていたのは
Nさんで、私は、丸投げして
ノータッチだったから。

そのことひとつとっても、
どれだけNさんに
支えられていたことか・・・・・。

それにしても、ただ単に
Kさんと二人で会っただけだったら、
ひょっとしたら、
Nさんが亡くなったことは
言いそびれてしまったかもしれません。

Kさんと出会ったのも、同時に
大正琴の人と出会ったことも
偶然だけれど、
これは、Nさんが
引き合わせてくれたのかも。

ちょうど前日、
他の朗読グループの人が、
朗読会の招待状をくれたので、
彼女が元気なら、きっと、
一緒に行ったなぁ、なんて、
思い出していたところでしたので。


「これは・・・・・、
 ご縁があったということだからね」

「うん、神様って、おるんじゃなぁ」


そう話して、Kさんと別れて家に帰り、
夫に話したら、

「その井戸端会議、三人じゃなくて、
 四人だったんじゃないのか?」
って・・・・・・・。

 ホントだ、きっと、彼女もそこにいた。
 にこにこ笑って、きっと、そばにいた。

「ありがとう、ありがとう」

彼女の明るい声が、
聞こえたような気がしました。



Nさんは、
いつも、私の味方でした。

そのことは、とても力強い支えで、
何があっても、
「頑張ろう」と思い直せる
気力の素になりました。

ナレーションが得意で、
とても優しい、
素敵なお声の主でした。

歳の離れた私のような者を
心から信頼してくれていました。

朗読会の役が決まったら、
必ず、我が家へやって来ました。
持参のテープレコーダーを回し、
私が読むのを録音し、家に帰った後、
繰り返し繰り返し聞きながら練習し、
間の取り方からイントネーションまで、
完璧にマスターするのでした。

その、たゆまぬ努力は
誰にも真似ができないことでした。
なかなか
あそこまでできる人はいません。

その勤勉なこと、誠実なこと、
どれをとっても尊敬できる、
素敵なお姉さまでした。

フットワークが軽く、車のない私の
「足になる」と約束してくださって、
お願いすると、どこへでも気軽に
連れて行ってくださいました。

感謝してもしてもしきれないほど
お世話になったのに・・・・。

病を得た彼女は、頑として
「誰も見舞いに来ないでくれ」
と、言い張ったそうです。

息子のところに行っていた私だけが
彼女と連絡を取ってなかったために
直接「来るな」と言われてなかったのを
よいことにして、
「お見舞いに行こう!」と
Tさんと二人で病院へ突撃しました。

去年の七月頃のことです。

Tさんは、
「来るな」と言われた一人ですが、
私が、無理矢理巻き込んだのです。

 だって、どうしても
 お目にかかりたかったんだもの。

ところが、たまたま短期退院中で、
Nさんは、自宅療養されていました。

流石に、
自宅へ押しかけるわけに行かず、
玄関先へ手紙とお見舞いを置いて、
メールでお知らせしました。

そしたら、翌日、それもたまたま、
Tさんと二人でいるところへ
電話がかかってきました。

私がお話しできたのは、
それが最後でした。

気にはなっていましたが、
その後も、とうとう、
お目にかかることはできませんでした。

今年の初め頃、
なんだかしきりに彼女のことが
思われてならない時期がありましたが、
それもいつか間遠になった頃、
春になって、訃報に接したのです。

「一月下旬頃だそうよ」

と聞いたとき、ハッとしました。

 そうか、お別れを言いに
 来てくださったんだなぁ。

訃報をもたらしたTさんも、
「そうだろうなぁ」
と、言ってくれました。


時折、無性に、彼女の声が
聞きたくなります。

というか、耳の奥に、しっかり、
Nさんの声は記憶として残っていて、

「なにをぃよーんで、
 ええんじゃ、って」

という、彼女独特の言い回しとか、
反芻してしまいます。


   忘れないこと、時々思い出すこと、
   せめて、それが供養になるのなら
   いいんだがな・・・・・。

と思いながら、
この記事を書きました。

気持ちが届くといいな。


最後に言葉を掛けるとしたら、
「ありがとう」しかないです。

「本当に、ありがとう。
 安らかに、眠ってください。
 ずっと、忘れないよ。
 ありがとう」

ご冥福を祈りつつ・・・・・。










訃報

6 Comments

-  

NoTitle

私も何かにつけ思い出します。
特に、8月に大台に乗ってから、Nさんの言っていたことがことごとく身に染みて実感できるんです。
なるほど、こういうことだったのか・・・と。
それとあの笑顔・・・いい笑顔でしたね!!

2019/09/03 (Tue) 16:45 | REPLY |   
清しょうこ納言

清しょうこ納言  

Re:tekkさん

tekkさんだよね?
何の承諾も得ず文中に登場させてしまってごめんなさいね。

うん、うん、笑顔も素敵でした。
いつも明るくて、前向きで、行動力あって・・・・・。

tekkさん、大丈夫?
まだまだ暑いし、無理をしないようにしてくださいね。

2019/09/03 (Tue) 17:56 | REPLY |   

EBI  

NoTitle

ふとNさんの事を思い出すときは
Nさんが遊びに来られている時なのかもしれませんね^^
色んな事を思い出したり
そんな時に、ひとり言のようにNさんに話しかけてあげると
喜ばれるような…そんな気がします。

2019/09/04 (Wed) 17:57 | EDIT | REPLY |   

女王さま  

NoTitle

引き寄せってあるよね。
ワタクシも、とても逢いたい方に連絡したら「夫は、亡くなりました」と奥様からお返事いただいて、通夜葬儀に出て、お別れが言えた。

そして、しょこたんの周りには優しい人が多いよね。それは、しょこたんが優しいからだよ。

2019/09/04 (Wed) 18:01 | REPLY |   
清しょうこ納言

清しょうこ納言  

Re:EBIちゃん

EBIちゃん、いいこと言うねぇ。

ありがとう。ホント、そうだわ。
いっぱい思い出して、話しかけるね。

ああ、亡くなってもそばにいて支えてくれるんだ。
そう思ったら、ふっと、暖かいものに包まれたような、
とてもいい気持ちになりました。幸せだなぁ。

2019/09/04 (Wed) 23:12 | REPLY |   
清しょうこ納言

清しょうこ納言  

Re:女王さま

引き寄せたんだなぁ。

それ、すごいタイミングで連絡とったってことだよね。
あ、やっぱり、虫の知らせってあるんだなぁ。

私ね、運良く助けてもらったことって、いっぱいあるの。
それ、何かの埋め合わせなのかもしれないんだけれど、
窮地に陥っても、必ず誰かが助けてくれるんだよね。
ほんとうに、有難いことだと思う。

優しい言葉をありがとう。
私は、女王さまも限りなく優しい人だと思ってる。
いつも、ありがとね。

2019/09/04 (Wed) 23:20 | REPLY |   

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